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特定アジアニュースより 北朝鮮女性の人身売買の実態

2008/03/06 23:52

 

北朝鮮女性 20歳~¥101,000 25歳~¥74,000 30歳~¥43,000

中朝国境、悲しき「豆満江沈清」
(朝鮮日報 2008/03/05)   

 中国と北朝鮮の国境を流れる豆満江。昨年10月22日未明、月明かりの中をムン・ユニさん(当時25歳・仮名)が川を越えてきた。見知らぬ男に手を引かれ、幅40メートル足らずの川を渡ってきたのだ。彼女は一度も会ったことがない中国の独身男性のもとへ売られていくところだった。男は北朝鮮の人身売買ブローカー。強風に草がざわめく中、中国側の川岸に立った彼らの下半身は下着だけの姿だ。ズボンと靴は包みの中に入っている。真夜中にぬれた服を着ていれば脱北者であることが明らかだからだ。 

 ブローカーは川を渡り再び北朝鮮側に帰った。潜伏先に案内された彼女に「なぜ渡ってきたのか」と尋ねると、「父は1990年代後半の食糧難で死んだ。母も栄養不足で目が見えない」と答えた。トウモロコシ、豆、米といった穀物300キロ分の借金があるという。韓国の古典小説『沈清伝』の主人公沈清(シム・チョン)のように、目が不自由な母と弟のために彼女は売られていくのだ。ブローカーは人身売買で得た代価で借金の半分を返済した。金額はわずか350元(約5100円)だった
 

 中国と北朝鮮の国境地帯での人身売買の実態が本紙の特別取材班によって明らかになった。1990年代後半、北朝鮮の食糧難で急増した脱北行為が、人身売買という反人権的な行為へと悪化していることになる。取材班は昨年5月から10カ月、中国ロシア、ラオス、タイなど世界9カ国を回り、脱北者が置かれている現状を取材した。韓国北朝鮮そして中国の政府による無関心の下、彼らは強制送還の恐怖と貧しさという現実の中で毎日を過ごしていた。今年の北京五輪を控え、世界が中国政府に脱北者の人権問題改善を求めている。なぜ世界がそこまで脱北者の人権に注目するのか、その理由を集中報道する。

売られていく北朝鮮の女性たち(上) (中) (下) (朝鮮日報 2008/03/05)

 「25歳なら5000人民元(約7万4000円)、値切るならよそを当たってくれ」

 取材チームがユニさんに会ったのは、中国・図們近くを流れる豆満江(中国名:図們江)沿いの場所で、旧暦正月15日の小正月まであと3日という日の未明だった。アシ原が風に揺れ、川では風の音がうなりを上げていた。月は明るいが、川向こうの村は闇に包まれていた。中朝国境警備隊の監視を避け、茂みに身を隠すこと4時間。白っぽい影二つが川の向こうのアシ原をくぐり抜け、川に入った。一つは前、もう一つはその後ろ。それは裸の人間だった
 

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赤外線レンズがとらえた画面には人の姿が鮮明に写っていた。下半身の衣服をすべて脱いだ男と、ショーツだけの女性。裸同然の男女が川を渡っている。うねる川を細い足がやっとのことでかき分けている。男は後ろの女性の手を引いて歩く。いつのまにか川の水は腰にまで達した。すると女性は突然、立ち止まった。目まいがしたようだ。男は辺りを素早く見回し、手に力を入れ、女性を強く引っ張った。幅わずか40メートルの川を渡るのに10分以上かかった。
 

 男は北朝鮮の人身売買ブローカー、女性は男の「商品」だ。国境を越えた二人は寒さに震えながら、急いで手に持っていた服を着た。なぜ服を脱いで川を渡ったのだろうか。「ぬれたら駄目だから」。ブローカーはすぐ北朝鮮に戻らなければならない。服がぬれれば疑われるのは明白だ。女性もぬれてしまっては中国側ですぐに着替える服がない。だから二人は裸になった。「名前は?」「ムン・ユニです…ムン・ユニ」。女性はぶるぶると震えながら答えた。年齢は25歳だという。 

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 「25歳なら5000元だね」。人民元で5000元といえば、約68万ウォン(約7万4000円)だ。


 値段交渉しようとすると、男が怒り出した。「20歳から24歳までは7000元(約10万1000円)、30歳過ぎれば3000元(約4万3000円)だ。値切るつもりならよそへ行ってくれ」。
男は定額料金を主張した。
 

 ユニさんが風呂敷包みをほどき、服を着て、靴を履く間に、ブローカーに金が手渡された。渡したのは韓国の脱北支援団体「トゥリハナ宣教会」のメンバーだ。この団体は女性を買おうとする中国人の代わりにブローカーに金を渡し、女性たちを脱出させている


 ブローカーは札束を数えている。ちょうど5000元。飢えをしのぐため、25歳の若い女性が子を産む道具や働き手として一生を過ごすことの代価だ。これは北朝鮮の月給の30倍に相当する。このうちユニさんが借金した穀物代の半額、4万6000ウォン(約5000円)を除いた全額がブローカーに渡る。ブローカーは満足げに笑いながら、一言言った。「ちゃんと面倒を見てくれよ」。見守っていた取材チームの一人が吐き捨てた。「何だと? 面倒を見てくれだって?」
 

 翌日、身を潜めていた先でユニさんに会った。ユニさんはすでに脱北と強制送還を1回ずつ経験していた。「わたしが直接ブローカーのところに行き、売ってほしいと頼みました。穀物を300キロ借りましたが、返す当てがありませんでした。ブローカーが借金の半額を返してくれるというので…。あの男は同じ村の人です。家は中国の家のように裕福で、畑・ソファ・テレビ・冷蔵庫もあります。軍隊も保衛部も、あの男が女性を売り飛ばしているのを知っています」。それでも誰も男のことを告発しないという。なぜだろうか。「お金持ちが処罰されるはずはありません」 

 川を渡った日、ユニさんはブローカーの後に付いて家を出た。昼食を取り、川岸の山に入り、二人で隠れていた。未明になると「山のふもとの北朝鮮側軍隊から合図の明かりがあった」という。そして月明かりを頼りに服を脱ぎ、川を渡り中国側に足を踏み入れた。これが2度目だ。 

 「2006年に初めて売られました。山東省に住む34歳の中国人の男の所に売られましたが、半年後のある日、午前0時に公安(警察)が来ました。どうしてわたしを捕まえるのかと聞いたら、村人が通報したからだと答えました」。ユニさんはすぐに中国の丹東刑務所に入れられ、その後二人ずつ手錠でつながれたまま、新義州に送還された。


 北朝鮮保衛部で過ごした1カ月間について、ユニさんは体を震わせながら次の通り証言した。
 

 「“性病検査をする”と血をボウル1杯分抜かれました。女性たちは服を全部脱がされ、ゴム手袋をはめた手で性器の中まで調べられました。立ったり座ったりを20回ほど繰り返せば中にあるものが全部出てきます。妊婦もいましたが、中国人の子を妊娠したということで強制的に流産させられました。トウモロコシ飯とおかずが1品出ましたが、一口で中国の刑務所で食べた食事が懐かしくなりました」 

 ユニさんは咸鏡北道清津にある脱北者集団収容所に入れられ、1日17時間も強制労働をさせられた後、釈放された。だが、数カ月後、ユニさんは再びブローカーに身を委ねた。 

 トゥリハナ宣教会メンバーがユニさんに慎重に語りかけた。「あなたを中国人に売り飛ばそうとしているのではありません。韓国に行きませんか」。するとユニさんは迷わず答えた。「わたしは最初に買ってくれた中国人の男の所に行きます。中国人とおなかいっぱい食べて暮らしながら、お金をためて故郷にいる家族に送ります」。


 ユニさんは韓国行きを断った。故郷に残っている目の不自由な老母と弟のため、ユニさんは中国に残る決心をした。トゥリハナ宣教会はユニさんに冬服を数着買い与え、無事を祈りつつ別れた。ムン・ユニ。彼女はこの10カ月間に取材チームが出会った人身売買被害女性の一人にすぎない。


 2008年1月、取材チームは中国・図們の豆満江で凍死した北朝鮮女性一人の死体を発見した。靴はなく、ただ足に布を巻き付け、いてついた豆満江の中央にうつぶせになって死んでいた。3月2日現在まで2カ月経過したが、彼女は誰も引き取り手がなく、寂しく川に放置されたままだ 

2008030300404_3.jpg
(クリックで別ウィンドウ)
記事そのままの画像です。


地元の朝鮮族住民は「北朝鮮の食糧難以来10年ぶりに死体を見た。あの様子からすると、一人で脱北しようとして石に引っ掛かり死んだに違いない」という。2008年の中朝国境地帯。生きている女性の人身売買市場は随時開かれ、死んだ女性は誰も引き取らない。

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